2018/06/09 23:15


今回リリースした「LLCマグカップ」は、岐阜県多治見市にある美濃焼の窯元に発注して作りました。この少しふっくらしたデザインは、通称「センパク・マグ」と呼ばれています。



日本で生産される陶磁器の50%以上のシェアを持つ美濃焼ですが、高度経済成長期の1970年代には、日本国内向けの製品だけでなく、海外への輸出のための陶磁器もたくさん製造していました。


当時の美濃焼の工房は小さな窯元が多く、多品種を大量生産するのではなく、限られた製品を職人たちがひとつひとつ、手仕事によって作っていました。




その小さな窯元のなかで「アメリカ海軍が戦艦で使用する食器だけ」を専門に作る窯元が、岐阜県の多治見市にありました。


アメリカ軍からの大量のオーダーをこなすため、いくつもの小さな窯元が力を合わせ、ひとつひとつ作っていたそうです。いつしかアメリカ海軍で使われるそのマグカップは「センパク・マグ」と呼ばれるようになりました


多治見の職人たちによって手仕事で作られた大量の「センパク・マグ」は、名古屋港から船でアメリカ本国に輸出され、アメリカ海軍の戦艦で使われていたそうです。




1970年代、横須賀・米軍基地周辺の、いわゆる「どぶ板通り」にあるカフェで、この「センパク・マグ」が使わてれいたこともあったようです。基地内のハウスから流出したモノなのか? どのような経路でどぶ板のカフェに出回ったのか、今となってはわからないのですが。。。




1970年代の多治見は、この「センパク・マグ」で儲けた窯元が「マグ御殿」と呼ばれる大きな家を建てるほどの好景気に沸いていました。しかし1980年代以降、安価な中国産の製品が出回るようになるにつれ、海外への輸出は徐々に減っていき……、米軍からの「センパク・マグ」の注文はなくなってしまったそうです。




米軍からのオーダーはなくなりましたが、この「センパク・マグ」のデザインは、多治見の窯元に残りました。船舶(船内)で使用するため、割れにくいようにふっくらとした厚みのあるデザイン。真っ白ではなく、ほんの少しだけ青みを帯びた磁器の色が特徴です。




このように、70年代のアメリカと日本にまつわる歴史を感じ、どこかノスタルジックで海の匂いのする「センパク・マグ」。逗子surfersにも通じるそのフィーリングを形にしたのが、この「LLCマグカップ」なのです。


(surfers 高橋秀幸 / 2018.6.9)